右と左は同時に見(ら)れない

映画評 タクシードライバー 見解、感想、解説まとめ 「たんたんと進んでいく不思議な映画だった」

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今回初めて映画評を書くということなんですが、ここ最近からいろいろな映画を見ているのでどこかのタイミングで映画についての感想なんかをかいてみたいなと思っていました

 

そして実際に書いてみたのがこの映画 1976年公開の俳優ロバート・デ・ニーロ主演の「タクシードライバー」です

 

あらすじ

 大都会ニューヨークを舞台に夜の街をただ当てもなく走り続ける元海兵隊タクシー運転手が、腐敗しきった現代社会に対する怒りや虚しさ、逃れられない孤独感から徐々に精神を病み、ついには自分の存在を世間に知らしめるため過激な行動に走る姿を描く。1960年代後半から1970年代中頃にかけて隆盛を極めたアメリカン・ニューシネマの最後期にして代表的な作品とされている。

映画のタイトルからも分かる通り、タクシードライバーに関する話になっています。タイトルからするとタクシードライバーとして様々な客を乗せ、そこでの数多くの出会いから、物語が展開していくものなのかと想像していましたが、実際見てみるとそのような単純なものではありませんでした

 

主人公とストーリー

物語の主人公がロバート・デ・ニーロ演じるタクシードライバートラヴィス・ビックルベトナム戦争からの帰還兵で元海兵隊員。最近眠れないという理由で深夜も走るタクシードライバーの仕事に就くことになる。実際仕事を受けようと受付と話している時では冗談まじりに「最近眠れないから」という風に言っていたが、この言葉はタクシードライバーになるためのなんとなくの志望動機ではなく、ベトナム戦争によって受けた精神的ダメージからくる不眠症だと思われる。「12時間働いても眠れない」というトラヴィスナレーションのシーンもある。トラヴィスの日常と言えばタクシードライバーの仕事をこなし、暇な時間に映画観でポルノ映画を見る、またはタクシードライバー仲間と雑談をするくらいのもの。そして深い闇につつまれたマンハッタンをタクシーで走る。そういった日常と、物語が進むにつれての口説き落とそうとした女性との出会いから自分の生活、周りの生活、当時のアメリカの社会に辟易し、次第にトラヴィスの狂気的な部分が出初め、物語は進んでいく・・・

 

感想+ネタバレ有り

この物語、たんたんと進んでいきます。フラグとかそういうものはあまりありません。一度通して映画を見ただけでは頭に?マークを浮かべる人も多いのではないでしょうか。主人公のトラヴィスがなぜそういう方向に物語を進んでしまうのか、どういった理由で行動を起こしているのか。そういった部分がなんとなく映画を見ているだけではとても想像できるものではありませんでした。正直途中で見ているところまでネタバレのない記事で情報を補完しました

 

まず主人公がただの不眠症のドライバーだということではないことを前提に見ないとこの物語を理解することは難しいかもしれません。まず主人公がベトナム戦争からの帰還兵ということとベトナム戦争がアメリカにとってどういったものだったのかということを知っておいた方が、より映画をみながらの理解度が大きくなると思います。僕もそういった知識については詳しくないので、情報を入れて考えるとより理解が深まりました。そういった情報をなしに物語を見ているとトラヴィスの行動に疑問を感じることが多かったです

 

物語が進むにつれトラヴィスの狂気的な面が出てきます。最後まで見終わった後に考えるとなんてことのないシーンですらトラヴィスの狂気的な面の端っこを表現しているようにも考えることができました。例えば、トラヴィスが大統領候補の車の到着を待っているSPに話しかけるシーンがあります。このシーンではなく、後に大統領候補を殺そうと実行することになるのです。このシーンでは大統領候補に近づくこともありませんでした。なにをしたかというとSPに話かけただけ、その話の内容も「あんたSPだろ?」、「銃はどんなのを持っているんだ?」、「俺もSPに興味があったんだ」なんていうようななんてことない会話です。僕はこのシーンを後の大統領候補を殺す為の情報収集で探りを入れているのかと考えましたが、結局このシーンではSPがトラヴィスに「SPに興味があるならそれについての資料を送ってやろうか?」という話で終わります。特にトラヴィスにとって重要な情報を得られたわけではありませんし、むしろ次の計画の時に顔を覚えられてしまって計画が実行できない、ということにもなりかねないとも思うのです。(計画実行時では髪型を大きく変えていたのでそこは意識したのかもしれませんが)ですが、あえて大統領候補のSPである男に自ら話しかけてなんてことのない話をするだけというこのシーンにも、トラヴィスの狂気的な部分が出ていたのかもしれません

 

髪型を変えたトラヴィス

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疑問点1 トラヴィスはなぜデート時にポルノ映画を選択したのか?

ラヴィスが選挙運動に参加している女性を口説き落とそうとしているシーンがあります。結局はその女性と付き合うことにはならず、振られてしまうことになるのですが、その振られるきっかけとなったのがデート場所の映画観で選択した映画がポルノ映画だったということです。日本という国で育ち、平成という時代に産まれた僕からするとデートの時にポルノ映画を見に行くというのは選択肢にすらありません。あの時代のアメリカでの男女間の中でデートをするときにポルノ映画を見にいくという行動は割となかった話ではないのでしょうか?

 

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疑問点2 最終シーンまでのたたみかけ、トラヴィスは生きていた?

最終局面でトラヴィスは約12歳だと思われる買春をさせられていた少女を助けるシーンがあります。その奪還シーンでトラヴィスは買春が行われている建物に拳銃、ナイフといった武器を装備して、乗り込みます。トラヴィスはその組織の奴等との銃撃戦を得て、勝利を収めるという結果になるのですが、トラヴィスもその銃撃戦の中で、首と肩に弾を受けてしまいます。組織の奴等を全員倒したあとに、トラヴィスは持っていた銃で自分の首に拳銃を当てて発砲を試みるのですが、その拳銃の弾はありませんでした。それを知るとトラヴィスは近くにあったソファーに座り込み、うつろな目で天井を見上げます。そのシーンが終わると、トラヴィスの買春組織と闘った行動が新聞などで賞賛され、約12歳の少女の親からは感謝の手紙が届いているシーンになります。そしてさらに場面が進むと、トラヴィスタクシードライバー仲間と雑談しているシーンになります。このシーンを見たとき僕は、トラヴィスはあの銃撃戦で死んでしまったと思っていたので、(髪型も元に戻っていたので)このシーンはトラヴィスが銃撃戦を行う前のタクシードライバー生活の一部を切り取ったシーンであると思っていました。ですが、客がきたので自分のタクシーに向かうところでトラヴィスの首が映り込みます。そこをよく見ると首の左側に傷跡のようなものがあります。このことからトラヴィスはあの銃撃戦の後に生きてタクシードライバーの職に戻ったということが分かりました

 

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全体の感想

まず全体の印象としては、雰囲気がとてもよかったです。あと音楽もよかったです。タクシードライバーという映画の雰囲気作りにとてもあっている音楽でした。最初にフラグがあまりないという話をしましたが、そこがあえてよかったのかもしれません。アクション映画などでこの階段を上ると敵がまちかまえているな、と思わせるようなシーンがありますが、タクシードライバーには分かり易いそういう場面がなかったので、常にかまえて見ていましたし、トラヴィスの次の行動が常に読めないので、大きな起伏はありませんでしたが、終盤、1つの場面毎に常にドキドキしながら見ることのできる映画でした。見終わった後にいろいろ考えさせられるような映画でした

 

 おわり